衝撃的誘惑スパイラル

誰にも見せない日記を書く

1年ほど前から紙の日記を再開した。

日記自体は小学生の頃から「数日おきに気が向いたら書く」くらいの習慣になっていたが、社会人になってからはアプリやスマホのメモ帳で済ませたり、SNSやブログで日記欲を満たせていたりと、紙の日記帳からは足が遠のいていた。

書きたいだけ・吐き出したいだけであればアプリやSNSでも良いのだが、「振り返りたい」となるとやはり紙媒体が良いなと気づいたのが昨年のこと。ぺらりと紙をめくりながら過去の自分を振り返るのは、スクロールでは味わえないほっとできる感覚がある。

試行錯誤しながらも、
①まずは日記を書き始める
②日記を継続させる
③自分にあった日記にシフトする
という3段階を経て、2年以上楽しく日記を続けられている。

2分もあれば埋められる日記帳を選ぶ

しばらくぶりの紙媒体で継続できるか少し不安。まずは手軽に試してみようと手に取ったのは、無印良品のマンスリースケジュール帳だ。とてもシンプルな構成で、マンスリーカレンダー12か月分とフリーページが20ページ強あるだけ。価格も550円と、挫折しても惜しくない値段だった。

www.muji.com

この手帳のマンスリーページに、細かな字で日記を書き始めた。旅行中や飲みすぎた日などは書けない日ももちろんあり、そんなときは可愛いシールでごまかす。1日分の枠が狭いのがちょうどよく、継続するハードルをできる限り下げられた。この量なら、2分もあれば埋められてしまう。

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慣れてくるともっと書きたいことが増えてきたので、気分が乗っているときは後半のフリーページに書くように。特に映画や舞台の感想は際限なく書きたかったので、枠がないページなのが良かったと思う。自分の気持ちを枠の中だけで制限せずに、どこまでも好きなだけ書き連ねることができた。

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自分に合う日記帳の条件

マンスリーとフリーページの2種類を使ったことで、自分が求める日記帳がだんだんとわかってきた。試行錯誤期間を経て、今年の日記帳を決めるときに書き出した条件がこちら。

・書きたい日と書きたくない日、どちらでも好きだけ書ける自由さがほしい
・書けない日が続いて空欄が目立つと開かなくなってしまう
・カレンダー形式でどんな出来事があったのかを一覧できるのが良い
・1年を通して読んだ本や観た映画・舞台などをリスト化して振り返りたい

見ての通り、とにかく自由さ重視。この時点で、よくある日にちで分割された日記帳やデイリー・ウィークリーの手帳などは除外。まっさらなノートを用意して、そこからカスタムしていくのが良さそうだと考えた結果、そろえたのがこちらの3点。

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ノートはRHODIAの「ゴールブック」。ページ番号がふられているので目次が作れるのが決め手だった。同様のロイヒトトゥルムとも迷ったが、カバーが固いためぺらぺらめくりたい私には合わず。

ゴールブックにはカレンダーはないので、マンスリーカレンダーのステッカーも購入。

inspicスマホBluetooth接続して使うモバイルプリンターで、インク無しでカラー写真を印刷できる。inspicを導入したことで、SNSスマホアプリより劣っていた「写真で残す」という点がクリアできた。

www.shop.quovadis.co.jp

ただのノートを自分専用の日記帳に

ノートの前半には各種リスト用のページを確保した。本や映画、舞台、展示の記録のほか、買った服や月締めの家計簿、行きたい場所や展示をメモするページも用意。1年を通して記録するものは前半にまとめることで、後半を自由に使う。

リストページのあとからは早速1月のカレンダーステッカーを貼り、1月が終わったら次のページに2月のステッカーを貼る、という算段だ。先々のカレンダーがまだ貼られていない状態だが、このカレンダーはあくまで「予定を記録しておく」ことが目的なので、スケジュール管理はスマホだけで問題なし。この月にはこんなことがあったんだな、と出来事だけを一覧で振り返れるようにした。

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その後はひたすら自由に日記を書いたり書かなかったり。2~3行で終わる日もあれば2ページに渡って書き込む日もあり、毎日の気持ちの波を後からも感じられる。inspicで印刷した写真や舞台のチケットを貼ったり、中途半端に空いたスペースにはシールやマステを貼ったり、とにかく何もルールを決めないことにしている。書き進めるうちにふわふわと膨らんでくる日記帳が愛おしい。

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"誰にも見せない日記"の良さ

SNSやブログ記事を書くときには、無意識のうちに「読んでくれる人がいる」ことを前提に言葉を発していると思う。それはとても尊いことだし、人に見せる文章だからこそ出てくる言葉がある。私も人に見てもらえる場所で言葉を綴ることが好きだ。

一方で、見え方を気にしてこぼれ落ちる言葉もあると思っている。それは醜い感情だったり、人には言いづらい意見だったり様々だが、どんな感情でもその手触りはいつか絶対に忘れてしまう。舞台を見てすごく感動した日のことも、ささいなことでひどく悔しい気持ちになったことも、いつか自分の糧になるかもと思いながら、誰にも見せない日記帳を前に必死に拾い集めて小瓶に詰めているような感覚だ。

逆に、言語化することで、その言葉としてしか思い出せなくなるんじゃないか、言葉にできなかった気持ちの隙間を言葉が飲み込んでしまうんじゃないか、と思うこともある。何度も何度もそんなことを考えたが、それでもやっぱり気持ちごと忘れてしまうくらいなら何か少しの手がかりだけでも残しておきたい。私にとっては、手がかりを残す手段は言葉にすることだなといつも思い至る。

 

誰にも見せない日記、なかなか悪くないですよ。

 

おまけ 愛用の筆記具たち

筆記用具は100円ショップで買ったキラキラのサンリオポーチの中にがさっといれて、気分で選んでいる。メインの文字に使うのは、黒の他にもネイビーや茶色、ボルドーなどの渋めの色のペンが多い。

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最近はキッズ向け万年筆の「kakuno」がお気に入り。本格的な万年筆も持っているけれど、kakunoの気軽さが私の日記と相性が良い。すらすらひっかかりなく書けるので思考がそのまま文字にできる気がしている。

 

 

円錐にマシュマロを投げる | マシュマロ